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TSKが手がける「現場の物流デザイン」。これまでの歩みと目指す未来

TSKは2022年に、事業ドメイン(展開する事業領域)を「現場の物流デザイン」と定めました。「現場の物流デザイン」とは何か。そこにたどり着いた背景やTSKが目指す未来の姿についてご紹介します。

製袋事業から始まったTSKの歴史

TSKの創業は1939年、セメント袋を生産する製袋事業がその始まりです。

当時、セメントを入れるクラフト紙は、限られた企業しか購入を許されていない統制品でした。そこで、使用済みの袋の内側だけを新しい紙に取り替えて縫い直す、という再生袋事業を始めたのです。その後、高度経済成長の波に乗り、クラフト紙袋の量産体制を構築。順調に業績を伸ばし、会社を現在の工業団地へと移転したのもその頃です。

しかし、1970年代後半に生産はピークを迎え、クラフト紙袋の需要は減少の一途をたどります。事業の見直しを迫られる中で、三代目(現会長・高木悦郎)は、包装の意味を徹底的に考え直しました。そして、包装はモノの運搬・保管のためにある。つまり、「物流の一要素」にしか過ぎないと気づいたのです。

包装(荷姿)を改善することで、全体の物流費(運搬・保管・荷役・包装資材・管理)を最小化することができる。そのような仮説のもと、ついには「包装レス」という究極のアイデアにもたどりつきます。モノを搬入したあと、袋や箱から取り出す手間を省くため、専用台車の製作を発案。そこから、マテハン機器という2つ目の事業軸が生まれました。

そして、現在。TSKが長年、社内で取り組んできたKAIZENを武器に、物流ソリューションの領域へとさらに取り組みを広げています。物流業界に大きく根をおろしながらも、時代の変化にあわせて変化を続けているTSKは、「現場の物流デザイン」の会社として、新たなスタートを迎えます。

「現場の物流デザイン」とは?

それではここから、「現場の物流デザイン」とは何かについてご紹介します。

まず、「現場の物流」とは、モノづくりの現場において、その工程や拠点の間で発生するモノの移動(移動には人やロボットなどが介在)を指します。工場内のテーブルから台車までの数秒の移動から、国内のA工場から海外のB工場までの日をまたぐような移動まで、その距離はさまざまです。

この「現場の物流」には、改善するべき数多くの課題があるとTSKは考えています。創業以来85年にわたって物流支援に携わってきたプロフェッショナルとして、現場のリアルな課題と向き合い、デザイン思考で解決へと導く。その事業ドメインを「現場の物流デザイン」と名付けました。

「デザイン思考」とは、まさに「KAIZEN」のプロセスである

「共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」という5つのプロセスで課題解決へと導くデザイン思考は、TSKが長年取り組んでいるKAIZENの進め方に通底します。

お客様のもとに足を運び、現場が抱えるお困りごとに寄り添うこと(共感)がKAIZENの出発点です。レポートにまとめるなどして問題点を見える化し、専門分野の違う者同士がそれぞれの知恵や技術を持ち寄り、アイデア出しや試作を繰り返す。そして、お客様の意見を聞きながら仕上げを行い、最終的な実装・運用へとつなげていく。こうしたKAIZENのプロセスに一貫しているのは、お客様と共に汗をかきながら、現場課題の解決に最後まで伴走する姿勢です。

そして、こうしたKAIZENのプロセスを浸透させることで、お客様の中でKAIZENを自走できるような組織変革や人材育成のサポートまで行うのが、「BANSO Pack」です。

▼BANSO Pack
https://kaizen.tsk-corp.jp/lp_banso-pack/

現場の物流デザインの2つの武器。「真空成形」&「TRAPALLE」

そんな現場の物流デザインの事例として、包装・マテハンの領域から、現場のお困りごとを解決する2つの武器をご紹介します。

低コスト&高品質を実現する提案型の「真空成形」

真空成形とは、プラスチック製品の成形に使われる技術です。材料となるのは、熱を加えることで柔らかくなり、冷やすと個体になる特性をもつ熱可塑性プラスチック。これを真空状態の金型に密着させることで成形します。例えば、卵のケースやお弁当の容器など、さまざまなプラスチック製品に真空成形が使われています。

TSKでは、この真空成形の技術を使い、包装や運搬にまつわる課題解決を実現してきました。異素材からの置き換えや形状を変えることにより、積載量や品質の改善につなげています。
これまでの1000万個以上の製造実績や課題解決のノウハウをもとに、お客様にとって最適なモノの運び方をご提案します。

▼真空成形サービスページ
https://tsk-corp.jp/vacuum-forming/

人に優しい、超効率的な輸送システム「TRAPALLE(トラパレ)」

まさに現場のお困りごとに徹底的に向き合うことで生まれたのが、「TRAPALLE(トラパレ)」です。従来の製造業では「荷物を台車からパレットへ載せ替える」作業は常識とされていました。しかし、高齢や女性の労働者が増え、安全性の観点からもこの荷物を載せ替える重労働は大きな課題となっていました。

TRAPALLEは、「荷物を載せた台車のまま運ぶことができる」人に優しく、超効率的な輸送システムです。使い方は、荷物を載せた台車をそのままTRAPALLEに押し込むだけ。重労働の削減による作業負担の軽減や人材確保に加え、効率アップによる作業時間の短縮、工場の省スペース化も実現しています。

TRAPALLEは、日本マテリアル・ハンドリング(MH)協会「第28回日本MH大賞」の努力賞を受賞しました。

▼TRAPALLE
https://kaizen.tsk-corp.jp/lp_trapalle/

「現場の物流デザイン」が目指す未来とは

最後に、「現場の物流デザイン」の今後の取り組みや実現したい未来像について、高木亮太社長に聞きました。

亮太社長:「真空成形もTRAPALLEも、お客様からお声がけいただいたり、時代の流れの中でタイミングに恵まれたことが、事業を始めるきっかけになりました。お客様の要望があってこそ、それを叶えることでTSKは変化しながら成長し続けることができています。これまでご縁をいただいた多くの方々には、感謝の言葉しかありません。

今後TSKは、日本のモノづくりをより円滑にするべく、グローバル視点で日本と世界を橋渡しする『現場の物流デザイン』を実現していきたいと考えています。日本のモノづくりはすでに、海外の拠点なくしては成り立たなくなっています。しかし、そこには数多くの課題があります。例えば、日本企業と海外拠点の間にはいくつもの担当者が介在し、やりとりが煩雑になっている部分もあれば、サンプル品の輸送や試験結果のフィードバックなどの手間が発生していたりもします。だからこそ、こうした非効率な部分にTSKが入り交通整理をすることで、やりとりをスムーズにしていくことには大きな意義があると感じています。

『現場の物流』には常にそこで働く人の姿があります。そうした現場の声に徹底的に耳を傾け、日本、そして世界の製造業・モノづくりを円滑にしていくことが、物流に携わる私たちがより良い未来の実現に向けて、今、取り組むべきことだと考えています」

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