社員の“学び合い”を促すTSKの人財育成「わくわくLIFE!」とは?
TSKでは人財育成の取り組みとして、社員同士の“学び合い”を促すプロジェクト「わくわくLIFE!」を行っています。この記事では、「わくわくLIFE!」の概要や立ち上げまでの経緯、具体的な取り組み内容についてご紹介します。
わくわくLIFE!とは?
「わくわくLIFE!」とは、様々な研修やワークショップ、イベント、コンテンツ提供などを通して社員の学びを深め、一人ひとりの成長を後押しすることで、人生をわくわくと充実したものにしていこうという取り組みです。
わくわくLIFE!を始めた経緯
なぜ、わくわくLIFE!の取り組みを始めたのか。その経緯について、運営の中心メンバーであるカドデさん、ハヤシさんに聞きました。
ーわくわくLIFE!は、いつ頃始まった取り組みなのでしょうか?
カドデ:わくわくLIFE!の前身となる社内研修プロジェクト「TSKアカデミー」を2022年10月に立ち上げました。
ー立ち上げの経緯について教えてください。
カドデ:TSKには、人財の成長を促進するための基準や運営の仕組みとして、1~8の等級ごとに求められる能力を体系的にまとめた人事制度「やりがい制度」があります。しかし、社員からは「必要な能力を身に付けるための具体的な方法がわからない」「身に付けられる機会や場所がない」といった声があり、この制度だけではなかなか成長に結びつかない、人が育たないといった点が課題になっていました。
ハヤシ:それまでTSKには、体系的な教育システムというものがしっかりと整備されていませんでした。入社後の導入研修は行っていたものの、配属先で必要なことを学ぶのみで、自分の業務には専門的になれるけれど、他の部署の仕事はあまり知らないという状況になりがちでした。ここをもっと標準化できないかということは、個人的に考えていました。
カドデ:こうした状況の中で、社員が成長するための手段を見える化し、より効率的に成長を後押しするためのプロジェクトとして「TSKアカデミー」を立ち上げました。
ーその後、どのような経緯でわくわくLIFE!へと変化したのですか?
カドデ:立ち上げてすぐに名前が相応しくないことに気づいたんです。私たちが人財育成で実現したかったのは、上から下にものを教える一方通行の教育ではなく、社員一人ひとりが対等な立場で主体的に、かつお互いに学び合うことができる環境でした。そして、最終的に目指したいのは、学びや成長の先にある一人ひとりの人生の充実です。こうした想いから、プロジェクト名を「わくわくLIFE!」と名付け直しました。
ハヤシ:メンバーからこの「わくわく」というキーワードが出た時、すごくいいなと思いました。個人的には、みんなにもっと楽しく仕事をしてほしいという想いがあって。会社が求めるものに無理して自分を当てはめるより、もっと個性を尊重したり、得意なことを伸ばしてほしい。そのほうが、結果的に会社の成長にもつながっていくのではないかなと思います。
そのためには、ただ教えられるだけではなく、自分で考えて動いたり、体験を通じて肌で感じる学びも大切なはずです。そうした機会をもっと増やして、会社としても活用しきれていない素晴らしい能力を発掘して育てられるような、教育システムを実現していきたいと思っています。
ー現在、わくわくLIFE!はどのように運営しているのでしょうか?
カドデ:各部署から選ばれたプロジェクトメンバーが中心となって運営しています。私たち運営側としては、社員が「これを学びたい」「この技術を身に着けたい」といった目的を持ったときに、すぐにコンテンツにアクセスできる環境を整えたり、「コミュニケーションとは何か」「ムダとりとは何か」など、普段の業務ではあまり考える機会がないトピックを深堀りできる企画を提供していきたいと考えています。
ハヤシ:ただし、常にプロジェクトメンバーが主導するのではなく、社員から「こういうことをしたい」「これで困っている」という声が上がった時に、それをサポートする役割を果たすのが理想ですね。
カドデ:“学び合い”というテーマの通り、社員が自発的に研修や勉強会、ワークショップを企画する動きも生まれてきています。それによって、社員同士の交流が深まり、風通しの良い職場づくりにもつながっていくのではないかと期待しています。
わくわくLIFE!の取り組み例
わくわくLIFE!では、人財育成のカテゴリーとして、「マインド」「スキル」「スマイル」の3つを設けて学び合いを推進しています。ここからは、カテゴリーごとの具体的な取り組みについてご紹介します。
・マインド
世の中の流れや変遷、TSKの歴史・ビジョン・大切にしている価値観などに対話を通して触れながら、社会や人に対する理解を深めることで人間的な成長を目指すカテゴリーです。
ー学び合いの例①:亮太さんの会
高木亮太社長と社員が集い、共に考え学ぶ場「亮太さんの会」を全3回にわたって開催しました。「コミュニケーションについて」「働くって何?」の他、最終回には他社の社長もお招きし、「TSKが取り組む2030年の社会課題」というテーマについて話し合いました。対話を通して他の人の意見に触れたり、自分なりの考えを深めたりする時間となりました。
【参加者の声】
「『2030年の社会課題』に対してあまり深く考えたことが自分にはないなと思いました。日常では考えないことを深く考える良い機会になり、自分自身に刺激を与えることができて良かったです」
「改めて相手の価値観を理解することが、コミュニケーションを円滑にすることにつながると感じました。困っていることや悩みは、人と話して自分とは違う角度で見ることで解決に近づくことに気づきました」
「人と意見が対立しているときの解決方法は簡単ではないけれど、お互い納得できる解決方法を見つけられる可能性があることを学びました」
「普段、話題にしたことのない内容を深堀りできて少し賢くなった気分です。言い方を変えるだけで伝わり方がまるで違うなんて今まで自分になかった発想でした。伝わらないときは相手と合わないんだ、と思いがちですが、言い方を変えるなど工夫してみたいと思いました」
・スキル
仕事で求められる実践的な技術や技能を身に付けると共に、そのレベルアップを目指すカテゴリーです。
ー学び合いの例①:動画マニュアルの共有
各部署の専門的な技術や知識を動画マニュアルにして共有する取り組みを行っています。
例えば生産現場では、ミシンを使った縫製加工など、口で説明するよりも目で見たほうが覚えやすい業務を動画にし、他の人に教える際に活用しています。業務を覚える側も、動画であれば何度でも見返しながら習得することができます。
他にも営業部では、営業社員が自社製品についてプレゼンしている様子を映像に記録することで、他の人がプレゼンのノウハウを学べるように工夫しています。
こうした動画は、必要に応じて社員自ら撮影しており、現在、200点ほどが集まっています。
ー学び合いの例②:得意分野の勉強会を開催
社員同士が業務に役立つ得意領域の知識や技術、ノウハウを持ち寄り、勉強会を開催しています。
例えば、Googleのツールや機能を使いこなせていない人に向けたGoogle勉強会、KAIZENで活かせる溶接技術の基礎を学ぶ溶接教室など、様々な勉強会が企画・開催されています。
・スマイル
日々の暮らしと質を高め、笑顔を増やすためのカテゴリーです。自分の“好き”を職場でも表現できる環境づくりを目指しています。
ー学び合いの例①:花笑みガーデン
本社の第二工場の脇にある花壇を「花笑み(はなえみ)ガーデン」と名付け、社員が土や草花の手入れをしています。もともとは高木悦郎会長が一人で耕し始めた場所でしたが、庭いじりが趣味の社員や、このような取り組みに興味がある社員たちが自然と集まり、球根や種の植え付けや水やり、雑草取りなどを行うようになりました。花笑みガーデンの手入れをする時間は、普段は関わりの少ない部署同士の社員が交流する場にもなっています。
【参加者の声】
「ガーデニングの経験はまったくありませんでしたが、普段あまり関わりのないメンバーと業務以外で関わってみたくて参加するようになりました。花笑みガーデンは会社の“顔”ともいえる敷地の入口にあるので、そこを花でいっぱいにすることでご来社される方の気分を華やかにできたらという想いで活動しています」
「長野にある会社さんを見学に行った時、綺麗に整備されたガーデンやそれに自主的に取り組む社員の方の姿を見て、自分もやりたいと刺激を受けました。球根や種を植えて、その芽がでるまでのわくわく感と、綺麗に咲いた時のメンバーの反応を見るのが好きです。綺麗な花壇があることで、働く社員にも確実にいい影響があると感じています」
「昔から草花の手入れをするのが好きで、小さい頃の夢はお花屋さんでした。花笑みガーデンの活動は、花を育てることはもちろんですが、メンバーとの会話も楽しみのひとつです。相手の思いがけない一面を知ったり、美味しいご飯屋さんを教えてもらったり、情報の宝庫です。自由参加でやりたい人が参加できるのもいいですね」
「『1苗からでもいいのでお昼時間に花を植えてみませんか?』という呼びかけに惹かれて参加しました。メンバーからチャットを通じて『トマトの苗に実がつきました』『チューリップは今が見ごろです』と写真が送られてきたりするのも楽しいです」
「特にガーデニングが好きなわけではありませんでしたが、みんなと一緒にすれば楽しそうと思って参加しました。実際にやってみると、雑草の生命力ってすごいなあと思いました。一年中、花を欠かさず咲かせられるような花壇にしたいです」
ー学び合いの例②:森でリトリート
仕事にエネルギーを傾けていると、知らず知らずのうちにストレスや疲れが溜まってしまいがちです。そんな時はリフレッシュも必要!ということで、登山が趣味で森林セラピストの資格を持つ悦郎会長の主導のもと、森でのリトリートを定期的に開催しています。
2023年6月3日に開催された「森でリトリート&BBQ」では、ふるさと剣親自然公園で2時間ほど山登りをして体を動かしたあと、BBQでお腹を満たしました。山登りでは、森林浴を最大限楽しむため、スマホの電源はオフに。途中の開けた場所にレジャーシートを敷いて地面に寝転んだり、思い思いのやり方で自然を満喫しました。
【参加者の声】
「スマホの電源を切って森林浴に集中することで、頭の中の情報が整理されました。淡々とした毎日の中で、一旦、立ち止まって気持ちを切り替えるきっかけにもなったと思います。葉っぱを舐めてみたり、風の音を聞いたり、五感をフルに使った2時間で、地面に寝転んだら、本気で寝入ってしまいました(笑)。社員のご家族も参加されていて、職場とは違う雰囲気の中で交流を深めることができました」
「学生時代以来、久しぶりの山登りでした。仕事では一日中パソコンの画面を見ているので、自然の中を歩いてリフレッシュすることができました。普段、職場で関わる機会の少ない現場の方ともお話するきっかけにもなって良かったです。でも、ブヨに足を13か所くらい刺されてしまいました。山では肌を出さないこと、しっかり装備をする大切さを痛感したことがこの時の学びです!」
「インドア派ですが、アウトドアの醍醐味を味わえる時間になりました。地面に寝転んだ時、木々の隙間から見える空が綺麗だったこと、前日が雨だったので土の匂いが強烈にしたことが印象に残っています。普段、出かけるとよく写真を撮っていたのですが、この時はスマホを触らないルールだったので自然を満喫することに集中しました。それ以来、写真で残すより、その瞬間を楽しもうという意識になったのが大きな変化だったと思います」
終わりに
わくわくLIFE!が大切にしているのは、仲間との学び合いを通してその人ならではの成長の芽を見つけて育てていくこと。それによって、人生を「わくわく」と充実したものにしていくことです。
ハヤシ:役職や部署、性別関係なく、まずは花を一緒に植えてみたり、職場の片付けをしてみたりして、そこで生まれる会話が大切なのかなと思います。難しく考えなくても、何気ない会話の中にも学びや発見がたくさんあるし、一人でやると苦しいことも仲間をつくるとやりやすくなったりします。そうした機会を増やすことが自分の能力を伸ばしていくことにつながっていくのではないかと思います。
わくわくLIFE!は、立ち上げからまだ日が浅く、プロジェクトとして道半ば。目標としている教育システムの体系化や主体的な学び合いを実現するには、乗り越えるべき課題もたくさんあります。
カドデ:まだ社員に取り組みが浸透していない部分もあり、なかには「成長しなければ」とプレッシャーを感じている人もいるかもしれません。
しかし、本来は、できなかったことができるようになったり、以前より上手にできるようになったりすることは、誰にとっても嬉しい体験のはずです。それは、子どもの頃は素直に喜べていた感覚で、大人になるにつれて、多くの人がその喜びにふたをしてしまっているのかもしれません。その感覚をもう一度呼び覚まし、社員一人ひとりが変化するきっかけを得られるよう、今後もわくわくLIFE!をより良いプロジェクトへと育てていきたいと思います。