インタビュー
フラメンコダンサーから転身。 異色経歴の社長が切り拓く、TSKの海外展開

フラメンコダンサーから転身。 異色経歴の社長が切り拓く、TSKの海外展開

プロフィール

高木亮太さん|代表取締役社長 2011年入社

スペインでのフラメンコ修行を経てTSKへ

―TSKに入社するまでの経緯を教えてください。

大学でフラメンコに出会い、卒業後にスペインに渡って修行しました。舞台に出たり、バルで躍ったり。世界的に権威のあるコルドバのコンクールにも出場し、「3年後には決勝に行けるかも」と手応えを感じていた頃、父(現会長)から「そろそろ富山に帰ってこんか」と国際電話があって。いずれTSKに入る選択肢は頭の片隅にはあったので、帰省して話し合いの末、2011年に入社を決めました。

―入社後はどのような業務から始めましたか?

「まずは現場を知ってこい」ということで、半年間は製袋工場でひたすら原紙の“皮むき”をしました。紙のロールが来たら、製袋機に投入する前に外側を覆っている紙を剥がす作業です。現場の空気感や働いている人の気持ちを理解するための貴重な期間になりました。その中で、現場では「日々の勝ち負けが見えづらい」という課題があることを知り、自分でExcelのマクロを勉強し、“勝ち負け判定システム”を作りました。見積もりと実際の加工賃を比較し、その日の仕事が利益を出せたかどうか、すぐにわかるようにしたんです。成果が数字として見えることで、モチベーションも仕事の質も向上するのではと感じました。

―現場研修の後はどんなお仕事を?

次は営業だということで、当時、東京にあった営業所に配属されました。家賃を節約するために、代々木にあった営業所で寝泊まりしていました。ほかの人たちが帰った後、キッチンスペースに折りたたみベッドを広げて生活していましたね(笑)。当時の上司にはかなり鍛えられました。何をすればよいかわからず質問すると「お前は何をやりたいんだよ?」と。電車でも座るとすぐにパソコンを開いて仕事を始めるので、自分も慌てて開いて……みたいな。右も左もわからない状態から営業生活がスタートして、少しずつ仕事を覚えていきました。

海外進出へ。ベトナムでの奮闘の日々

―2013年には、TSKベトナムの立ち上げのため、ベトナムに渡っています。ベトナム進出のきっかけは何だったのでしょうか?

もともと海外進出を視野に入れていた会長が、中国やタイを視察に行った際、次の候補地として浮上したのがベトナムでした。ちょうど「チャイナプラスワン」としてベトナムが注目され始めた頃です。入社後、私も数回視察に行きました。経済成長によって街は非常に活気があり、日本とは違うなと感じました。

そんな折、東京の営業所で担当していたA社様から、「ベトナムで包装資材の現地調達をする際の試験を外部委託したい」という依頼があり、「ぜひ自分にやらせてください」と手を挙げました。ホーチミンに拠点を持つパートナー企業と協力し、試作から量産までワンストップで行う提案をし、無事に受注しました。それを契機に、TSKのベトナム進出が本格化していきました。

―立ち上げ時に苦労したことはありますか?

一番印象的だったのは、完成予定だった工場の内装工事が、行ってみるとまだ始まってすらいなかったことです。当時はよくそういうことがありました。さらに問題だったのは、工場を立ち上げた後、在庫消化の関係でA社様からの発注が1年半ほど遅れたことです。やることがなく、工場の掃除ばかりしていた時期が一番辛かったですね。

―その大変な時期をどのように乗り越えたのですか?

「これじゃあダメだ」と思い、一人で新規営業を始めました。工業団地の企業リストを作り、上から順番にテレアポをかけることにしたんです。その時に偶然生まれたのが「もしもし大作戦」です。ベトナム語がわからなかったので、電話口で「もしもし」と日本語を繰り返すと、最終的に日本人の工場長が出てくれて、アポがとれることが多かったんです。その中の一社から、「トレイの無駄な空間を減らしたい」と相談を受けました。自分で設計をして、互い違いに収納することで入り数を倍増できる真空成形トレイを提案すると、それが採用され、ベトナムで初めて売り上げを立てることができました。

―設計の知識はどのように身に着けたのですか?

パートナー企業のホーチミン工場で3ヶ月ほど修行を受け、CADの使い方からすべてを教えていただきました。あとはやってみては失敗し、時にはクレームやお叱りを受けながら、改善していく繰り返しでしたね。

―事業が軌道に乗ってきたと感じたのはいつ頃ですか?

1年後にようやくA社様の案件が始まり、単月黒字を達成したときです。本当に嬉しかったですね。その後、売上げが安定し始め、3年目には年間黒字化を達成しました。

次なる挑戦はメキシコ! 海外拠点の可能性を広げる

―2022年に社長に就任されました。仕事への意識に変化はありましたか?

一番大きかったのは、何よりも周囲の見る目が変わったことです。社長は会社の顔であり、すべての責任を負う立場なのだという重みを感じました。就任後は、社員との関係性づくりも意識して、3か月かけて全社員との1on1も実施しました。その時に、人それぞれ何に価値を置くのかは全然違うのだなということを改めて学びました。

―現在は、メキシコへの展開も進めています。その背景を教えてください。

製造業の勝ちパターンは、日本で設計・開発し、海外で量産すること。海外拠点を持つことで、得られる情報量は飛躍的に増えますし、EV市場の拡大もあり、その重要性はさらに高まると感じました。そんな中で、ベトナム事業が10年を超え、「ベトナムだけで終わっていいのか」という思いが芽生え始めました。メキシコに注目したのは、ある製造メーカーさんから「メキシコではちゃんとしたプラスチック箱が買えない」という話をお聞きしたことです。それならTSKの商材である包装材も現地調達できていないのでは?と気づき、2023年に視察に行くと、マーケットは大きい代わりに競合は少ないという好条件であることがわかりました。さらに視察中に実際の案件の話まで出てきて、「これは勝てる」と確信してメキシコ展開を決めました。

―今後のグローバル展開の展望を教えてください。

TSKは2030年までにグループ売上100億円を目指しており、その成長エンジンとなるのが海外事業です。日本のお客様から、メキシコに工場を持つTSKに価値を感じていただける機会も増え、グローバルを介したつながりが強みになっています。「世界のモノづくりをもっと円滑にする」ことを目標に、これからも挑戦を続けていきます。

―TSKは海外で働く仲間を募集しています。どんな人と一緒に働きたいですか?

TSKの成長エンジンは海外にあります。そこを一緒にグッと広げていける仲間がほしいですね。決まった仕事をこなすだけでなく、意欲を持ち、自ら考えて行動できる人を求めています。海外は日本より熱気があり、裁量権も大きく自由度が高いです。海外ならではの日本人同士の独特な連帯感も魅力です。グローバルなモノづくりの中で、共に成長していける方と出会えることを楽しみにしています。

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