

【インタビュー】「子連れ出社」で働きやすく。性別・世代を問わず活躍できるTSKの職場環境づくり
「子育てしながら無理なく働きたい」「性別にとらわれずにキャリアを築きたい」
TSKでは、そんな思いに応える職場づくりを進めています。学校の長期休みに子どもを職場に預けて働ける「子連れ出社」や、時短勤務でも役職に就ける制度など、社員の声から生まれた独自の取り組みが次々と実現しています。
その背景には、ジェンダーバイアスや働き方への違和感と向き合ってきた社員一人ひとりの気づきと行動がありました。なぜその「当たり前」に疑問を持ったのか。どのようにして仕組みを変えていったのか。
TSKで現場の変化を牽引してきた3人の女性たちに話を聞きました。
お茶くみは女性の役割?
「思い込み」で守ってきたルール
これまで、職場で「性別によって役割が決まっている」と感じた経験はありますか?
モリウチさん(業務課・課長):今まで当たり前のようにやっていたけど、「よく考えたらおかしくない?」ということはいろいろありましたね。例えば、以前はお客さんにコーヒーを出したり、お昼休みに食堂でお茶を用意するのは事務の女性の仕事でした。
カメヤマさん(情報システム課・課長):一度、やかんを火にかけると、気になって仕事が手につかないみたいなことがよくありましたよね。
モリウチさん:そうそう。夏場は冷たくしないといけないから一回沸かしてから冷ますとか、すごく手間をかけていました。お茶の出し方は新人の女性には教えるけど男性はやらなかった。今振り返ると、そういうところに性別による役割の差はありましたね。
今はもうなくなったのですか?
カメヤマさん:「仕事の効率を落とすだけだから辞めましょう」と事務の女性が改善提案を出して廃止になりました。7~8年くらい前のことです。
モリウチさん:ほかにも、女性はスカートを履くとか、ヒールは何センチとか、社内で結婚したら女性が辞めるとか……明確に決まっているわけではないけど、みんなが何となく守ってきたルールみたいなものはありました。時代とともに私たちの意識も変わり、それがおかしいことに気づいて声を上げたり、行動を見直したりする女性たちが増えて、徐々になくなっていきましたね。「働き方プロジェクト」を立ち上げて、先進的な取り組みをしている他県の企業を見学してヒントをもらえたことも大きかったです。
時短でも役職、一時間単位の有休取得。
社員主体で新しい働き方を提案
見直したことで働きやすくなった取り組みや制度はありますか?
カメヤマさん:ひとつは、時短社員でも役職に就けるようになったことです。私自身、子どもが生まれて時短勤務をしているときに、課長職を任せてもらいました。フルタイムで働くのが難しくなっても、キャリアアップの機会がちゃんと確保されているのは心強かったです。
それから、以前は時短勤務の社員は「パート」と呼ばれていて、私はその呼び方にもすごくモヤモヤしていて。「パートなのに課長なんて大変だね」といった言葉を聞くたびに、どこか偏見のようなものを感じていました。それを会社に伝えたところ、「時短正社員」という呼び方に改められました。
確かに言葉の持つ意味や印象も、時代とともに変わっていきますよね。会社としても、個人の意見に耳を傾けながら、柔軟に変化しているんですね。
カメヤマさん:そう思います。話し合いながら解決策を見つけたり、いろいろと選択肢を用意したり、柔軟に対応してくれていると思います。
モリウチさん:例えば、始業時間についても、子どもの送り迎えに合わせて15分だけ遅らせたい、といった相談はしやすくなりました。個別の事情に合わせた働き方を柔軟に認めてくれる雰囲気がありますね。
ほかにも、制度面で改善されたことはありますか?
モリウチさん:一時間単位で有給休暇が取得できるようになったことも大きかったですね。以前は、ちょっと病院に行くだけでも半日分の有休を使わなければならず、もったいないと感じていました。だから、休みの日を利用したり、昼休みに無理して行っていたんです。でも、一時間単位で取れるようになったことで、必要な時間だけ無駄なく有休を使えるし、気兼ねなく「ちょっと抜けます」と言いやすくなりました。結果的に、仕事と家庭のバランスもとりやすくなったと思います。
「子連れ出社」もスタート。
働く親も子どもも笑顔になれる取り組みを目指して
「子連れ出社」も、社員の声をきっかけに始まった取り組みだそうですね。
ウオタニさん(総務経理課):そうです。私が子どもを学童に預けられずに困っていたときに、会社に相談したことがきっかけでした。最初は在宅で仕事をすることを考えていたのですが、上司から「職場に連れてきたら?」と提案されて。もしかしたら、同じように困っている人がほかにもいるかもしれないと思い、周りに声をかけてみたところ、モリウチさんをはじめ、複数の方が「一緒にやりたい」と賛同してくれました。
モリウチさん:自分もいずれ通る道だから、すごく良い取り組みだと思いました。
具体的には、どのように取り組んでいるのでしょうか?
ウオタニさん:春休みと夏休みの年に二回、工場にあるフリースペースで子どもたちを預かりながら、仕事ができる環境を整えています。子どもの見守りは、社員が交代制で担当しています。取り組みを始めて4年目になりますが、試行錯誤を重ねながら少しずつ運営方法を改善してきました。
モリウチさん:最初のころは、業務に必要なプリンターや大きなモニター、用紙や封筒などの備品をすべてフリースペースに運び込んでいました。車で何往復もしなければならず、準備がとても大変だったんです。でも今は、だんだんと要領をつかんできて、業務用のノートパソコンを持ち出してリモートで作業し、プリントアウトが必要なときは半日交代のタイミングで対応するなど、かなり省力化して運用できるようになりました。
実際に取り組んでみてどんなところが良かったですか?
ウオタニさん:子どもの心配をせずに仕事に集中できるようになったのはもちろんですが、子どもたちにとっても良い社会勉強の機会になっていると思います。親がどんな仕事をしているのかを間近で見られるし、全然違う校区の友達もできる。製袋工場の見学や袋づくりも体験させてもらったり、ベトナム出身の社員さんたちとも「ハロー」と言って交流したり、楽しそうに過ごしています。
モリウチさん:去年は夏祭りのイベントも開催しましたね。かき氷をつくったりして、みんなで楽しみました。準備はとても大変でしたけど(笑)
カメヤマさん:花壇にお花も植えましたね。
ウオタニさん:年によって参加する子どもの人数には変動がありますが、一人でも使いたい人がいるなら、これからも続けていきたいと思っています。
「子連れ出社」は、男性社員も利用しているのでしょうか?
ウオタニさん:声をかけてはいるけど、まだ利用者がいないのが現状です。子育てのかたちは人それぞれ違うと思いますが、もっと男性にも利用が広がるといいなと思います。
ライフステージに合わせて
“誰もが自分らしく働ける職場”へ
ほかにも、働き方に関して課題に感じていることはありますか?
モリウチさん:今は当たり前にやってるけど実はおかしいことって、きっとまだまだあるんだろうなと思います。例えば、電話もいまは事務職の女性がとることが暗黙のルールみたいになってしまっているところがありますね。そもそも「事務職は女性」「営業は男性」みたいなステレオタイプそのものを見直していく必要があるし、実際、少しずつですが、変革の芽は育ち始めています。
カメヤマさん:現場でも、「機械オペレーターは男性」「検品や梱包などの細やかな仕事は女性」という役割分担が定着していました。でも、男性社員が育休をとることになったとき、女性社員が代わりに機械オペレーターを担当することになって。実はそれまで近くで機械の動かし方や音を見聞きしていたから、問題なく操作することができたんです。やっぱり大事なのは、「男性だから」「女性だから」じゃなくて、「その人に向いているかどうか」なんですよね。
モリウチさん:製袋工場で働いていた女性が、営業グループに配属され、営業同行や価格交渉の電話をどんどんこなすようになった例もあります。また、事務職の女性で、「50歳過ぎたら工場で働きたい」と話している人もいます。フォークリフトの免許を取って…と、自分なりにプランをたてていて、すごくかっこいいなと思います。
ライフステージに合った働き方ができるかは、とても大切なポイントですね。
カメヤマさん:仕事って、社会とつながる大事な時間でもありますよね。だからこそ、結婚や出産などでこれまでの働き方ができなくなるのはもどかしい。「今はそういう人生のステージだからしょうがない」と割り切ったとしても、また状況が変わったときに、その人が望むかたちで自分らしく働ける環境があるのが理想的ですよね。
私自身、育休が明けて久しぶりに出社したとき、車で移動するときの一人の時間や、家族以外の人と話せる時間がすごく嬉しかった。そうやって、生活と仕事のバランスがとれると、人生そのものが充実していくと思います。
モリウチさん:柔軟な働き方へのシフトは、TSKに「KAIZEN(改善)」の文化が根付いているからこそ、起こりやすいんじゃないかと思います。何かを「変えたい」と思ったら改善提案として出せるし、そもそも「変えられないことはない」という前向きな発想を持った人が多い。だから、「とりあえずやってみよう」となるし、やってみてダメなら改善を重ねていけばいい。
そんなふうに、性別や年齢に関係なく一人ひとりが働きやすい環境をこれからもつくっていけたらと思います。
まとめ
職場で感じた“ちょっとした違和感”を見逃さず、声を上げてきた社員たち。その気づきと行動が、TSKに新しい風を吹き込んできました。
「当たり前」を疑い、小さなモヤモヤをきっかけに仕組みを見直す。昨日よりも今日、今日よりも明日が少しずつ良くなるように、改善を重ねていく。
誰もが自分らしく働ける環境は、そんな日々の積み重ねから生まれていくのかもしれません。より良い職場を目指して、TSKの取り組みはこれからも続いていきます。
<関連記事>
-「やりたい」を叶えられる環境。持ち前の好奇心でチャレンジする
https://tsk-corp.jp/journal/561/
-現場をもっと自由に面白くする活動。「KAIZEN」とは?
https://tsk-corp.jp/journal/32/
-モノづくりの現場に新たな気づきをもたらす「ファクトリースタディツアー」
https://tsk-corp.jp/journal/706/